Nagra HD AMP

開発のきっかけは、お客様からのご意見でした。高性能のスピーカーを使用したり、非常に広い部屋で音楽を聴くためには、より多くのパワーを必要とする大規模なシステムが必要になります。しかし、高い評価を得ているNagraMSAなどのNagraアンプは、こうした大規模なシステムでは使用できませんでした。こうしたお客様は、HD DACなどのNagra製品を他のブランドと組み合わせて使用する必要があることに不満を感じていたのです。

アンプの安定性を高め、常に高い電力を供給できるようにするには、電源の性能を大幅に上げる必要があります。HD AMPは、1600VAトランスをベースとして設計されています。また、Nagraの従来の設計手法に従い、マルチダイオードと非常に複雑なデュアルPIフィルターを採用しています。これにより、アンプの電圧レールの安定性を大幅に高めることができます。また、HD AMPからの電流引き込みはインパルス信号による影響を受けないため、アンプの性能を最大限に引き出すことができます。デュアルPIフィルターは、HD AMPと主電源との間の保護シールドとして機能します。

Nagra HD AMPのオーディオ増幅部は、比較的シンプルなコンセプトに基づいて設計されています。オーディオ増幅部を直接的でわかりやすいものにしたいというのが、シンプルな設計にした理由の1つです。それぞれの箇所は、最適な結果が得られるように調整されています。たとえばドライバー部には、さまざまな技術をベースとした多数のデカップリングコンデンサーが組み込まれています。また、ドライバー部に続くパワーMOSFETの性能を最大限に引き出すために、出力インピーダンスの値が非常に低くなっています。